日本獣医皮膚科学会学術大会に参加してきました
先日東京で開催された日本獣医皮膚科学会の学術大会に、院長が参加してきました。
毎年参加していますが、そのたびに新しい知見を持ち帰ってきています。
中でも普段診察することが多い犬の膿皮症についての新しいガイドラインについて、また治療の選択のために大切にしたい考え方についてお伝えします。
獣医療の場でも問題となる多剤耐性菌対策
膿皮症は皮膚の細菌感染症で、かゆみや赤みを伴う皮膚病変を引き起こします。
細菌感染には抗菌薬、というのが以前はスタンダードでした。
2024年に世界獣医皮膚科会議で発表された国際コンパニオンアニマル感染症学会(ISCAID)による新しいガイドラインでは、まず外用薬のみで治療を試みることが推奨されています。
消毒液やシャンプー療法がこれにあたります。
それでも改善が見られない場合は、薬剤感受性試験を行い、最適な抗菌薬を選択する、もしくは有効性が確認されている抗菌薬を使用する方法が示されました。
また、症状がなくなればすぐに投薬を中止することも重要とされています。
これにより、抗菌薬の不適切な使用を減らし、人間にも影響を及ぼす可能性のある多剤耐性菌の発生を抑えることが目的とされています。
実際の診療の場でも、外用薬の使用だけで症状が改善していくケースは少なくないと感じています。
ただ、自宅でご家族に適切な処置をしてもらうことが前提になるため、消毒やシャンプーのやり方については診察時にしっかりお伝えします。
「Spectrum of Care」という考え方
学会というと最新の研究や治療を学ぶ場というイメージをもたれる方が多いと思いますが、それだけではなく獣医師としての在り方や診療に対する姿勢など、他の獣医師から学ぶものも多くあります。
今回特に私が興味を持ったのは「Spectrum of Care(スペクトラム・オブ・ケア)」という概念です。
これは、科学的なエビデンスに基づいた医療を提供しつつ、動物のご家族の期待や経済的な制約を考慮し、受け入れやすい治療の選択肢を提案するという考え方です。
治療の際には、病気のデータだけを見るのではなく、「動物が何に苦しんでいるのか」をしっかりと見極めることが大切。
そのため、当院ではシャンプー、サプリメント、フード、薬などを組み合わせたオーダーメイドの治療を心がけています。
この考え方は、当院が普段から大切にしていることでもあり、学会の場でも注目されていると知り、改めてその重要性を再認識しました。
まとめ
学んだ知識は獣医師間ですぐに共有し、レベルアップした診療を提供できるよう努めております。
私が獣医師となったころのことを思うと、皮膚疾患に対する治療のスタンダードはずいぶん変わり、そして治療の選択肢も格段に増えました。
ただ、その分ご家族が治療について悩まれる機会も増えたように感じます。
どんなことにお悩みなのか、どんな治療をしてあげたいか。
学び続けながら、これからもご家族といっしょに考えていきながら診療を行っていきます。
会場で出されたお弁当がおいしかった!