先日、日本獣医動物行動学会 年次総会・第2回学術集会・設立25周年記念シンポジウムに参加してきました。
日本獣医動物行動学会は、犬や猫の「困った行動」を獣医学的に理解し、よりよく治療できるよう研究や情報発信を行っている専門学会です。
今回は、そこで得られた学びと、当院でも大切にしている「行動診療」についてお伝えします。
「しつけ」の問題だと思っていませんか?
「言うことを聞かないのは、しつけが足りないから?」
「うちの子の性格だから仕方ないのかな…」
そんなふうに悩まれる飼い主さんは少なくありません。
しかし、行動診療は単なる「しつけ指導」ではありません。
困った行動を獣医学的な視点で評価・診断し、治療を行う分野です。
獣医師だけでなく、愛玩動物看護師やトレーナーなどと連携しながら、動物とご家族が安心して暮らせる関係づくりをサポートします。
病院やトリミングが苦手な子へ
来院時に強い恐怖や不安を感じてしまう子には、
事前にお薬を使用する「PVP(事前投薬)」という選択肢があります。
不安を和らげることで、安全に、そして穏やかに診察やケアを受けられるようになります。
また、日頃から動物が自発的に協力できるよう練習する「ハズバンダリートレーニング」の重要性も改めて強調されていました。
攻撃行動や分離不安について
わんちゃんやねこちゃんがご家族へ攻撃行動を示すとき。
これは「性格がきつい」からではなく、身体疾患や精神疾患が隠れている場合があります。
原因に応じて
・刺激のコントロール
・環境の調整
・適切な関わり方
・薬物療法
などが必要になります。
また、分離不安が動物の睡眠の質を低下させている可能性についても報告がありました。
行動の背景には、目に見えにくいストレスが隠れていることがあります。
「体」と「心」はつながっています
皮膚の痒みや慢性的な痛み、視力の低下などの身体的な不調が、不安やイライラといった行動変化につながることは少なくありません。
行動の問題に見えても、まずは体のチェックが大切です。
そして、体と心の両面から評価することが必要です。
行動診療は「特別なこと」ではありません
今回の学会テーマの一つは
「行動診療、一人で抱えていませんか?」でした。
これは診療にあたる獣医師だけでなく、ご家族にも言えます。
「私の育て方が悪かったのかも」
「相談するほどのことじゃないかも」
そう思ってしまう方も多いのですが、
困った行動は動物からのSOSであることも少なくありません。
当院ではどうぶつの診療と同じように、ご家族の心のサポートも大切にしています。
どうか一人で抱え込まず、まずはお話を聞かせてください。
どうぶつたちとご家族が、穏やかで安心できる毎日を送れるよう、私たちが一緒に考えていきます。

