吠えや攻撃、過剰な舐めや尾追いなどの自傷行為。
一緒に暮らしているご家族にとって、こうした行動はとても大きなストレスになります。
「しつけの問題なのかな」
「自分の接し方が悪いのかな」
「この子自身もつらいのではないか」
悩みながら、毎日を過ごしている飼い主さんも少なくありません。
そんな困った行動を診療の対象としているのが行動診療科です。
今回は、実際に当院の行動診療を受診された飼い主さんからいただいたお声をもとに、行動診療についてご紹介します。
受診のきっかけは「この子も少しは楽になれたら」
このご家族は、わんちゃんの尾追い(自分の尾を追って吠えながら回転し、自傷してしまう)についてお悩みでした。
一般診療の病院で1年近くお薬を処方されていたものの、なかなか改善が見られない。
不安な気持ちで過ごされていました。
そんなとき、SNSで行動診療のことを知り、
「うちの子も少しは楽になれたら」
という思いから当院を受診してくださいました。
この言葉には、飼い主さんの切実な気持ちが込められていると感じます。
問題行動に悩んでいると、どうしても「困った行動をどうにかしたい」という気持ちが先に立ちます。
でも、その奥には、
「この子自身もつらいのではないか」
「もっと穏やかに暮らせたら」
「犬らしい生活を送らせてあげたい」
という願いがあるのではないでしょうか。
行動診療で目指すのは、犬猫も家族も暮らしやすくなること
行動診療という言葉自体、まだ一般的ではないかもしれません。
「何をする診療なの?」
「しつけ教室とは違うの?」
「こわい薬を出されるの?」
「うちの子は本当に対象になるの?」
など、質問されることがよくあります。
ここで行動診療についてご説明します。
行動診療では、問題行動がなぜ起きているのかを、わんちゃんやねこちゃんの体、生活環境、ご家族の関わり方など、診察の中で背景を一緒に整理します。
原因ごとに適切な関わり方は異なり、場合によっては薬物を使用したほうが効果的なケースもあります。
必ずしも問題行動をゼロにすることをゴールにするわけではありません。
もちろん、吠えや攻撃、不安行動などが減っていくことは大切です。
でもそれ以上に大切なのは、その子とご家族が安心して過ごせる時間が増えることです。

「もっと早く知りたかった」ひとりで抱え込まないための行動診療
また、実際に当院の行動診療を受診してから
「もっと早く知りたかった。問題行動がストレスと感じる方には絶対すぐに受診をすすめたいです」
というご感想をいただきました。
問題行動に悩んでいると、飼い主さん自身が追い詰められてしまうことがあります。
「また咬まれた」
「また怒ってしまった」
「どうしてうまくいかないんだろう」
「私の育て方が悪かったのかな」
そんな気持ちが積み重なると、わんちゃんやねこちゃんと向き合うこと自体がつらくなってしまいます。
でも、行動の理由が少しずつ見えてくると、対応の仕方も変わってきます。
「この子はわざと困らせているわけではない」
「不安や怖さから反応しているのかもしれない」
「環境を変えたら、少し楽になるかもしれない」
「接し方を変えることで、安心を増やせるかもしれない」
そう思えるだけで、飼い主さんの気持ちにも少し余裕が生まれます。
だからこそ、ひとりで抱え込まないでほしいのです。
その子が少しでも安心して暮らせるように。
ご家族が少しでも穏やかに向き合えるように。
一緒に暮らしを見直していくための診療です。
問題行動に悩んでいる飼い主さんへ
咬む
吠える。
怖がる。
留守番が苦手。
トイレを失敗する。
家族との暮らしの中で困る行動がある。
そんなとき、「しつけができていないから」とご自身を責める必要はありません。
そして、「この子はこういう性格だから仕方ない」と諦める前に、できることがあるかもしれません。
行動診療では、その子の行動の背景を一緒に考えながら、環境調整、適切な関わり方、トレーニング、薬物療法などを組み合わせてサポートしていきます。
わんちゃんやねこちゃんの行動で悩んでいるときは、どうぞ一度ご相談ください。
「困った行動をなくす」だけでなく、わんちゃんやねこちゃんとご家族が、少しでも安心して暮らせる毎日をサポートします。
