「歯みがきが大切なのは分かっているけれど、うちの子は絶対に嫌がるからムリ」
そんなふうに感じているご家族は、実はとても多いです。
わんちゃんやねこちゃんにも歯周病があります。
歯周病は痛みや口臭といった口の中の問題だけでなく、血流により全身に影響を及ぼすことも。
歯周病による症状としてすぐに表れるものは少ないですが、人よりも速いスピードで歯垢が歯石になり歯肉に炎症を起こすもとになるため、毎日のデンタルケアが必要です。
とはいえ、
「口元を触ろうとするだけで逃げてしまう」
「歯ブラシなんて絶対に無理!」
というのが現実では。
実際、来院されるご家族の中にも、「トライしてみたけど、すぐに諦めてしまった…」という方が多くいらっしゃいます。
そんな時は、“いきなり歯ブラシで磨こうとしないこと”がポイントです。
口元を触られること自体が苦手なコが多いため、まずはそこに慣れることから始めましょう。
ステップ①:触られる練習からスタート!
最初のステップは「口元を触る練習」です。
おすすめは、おやつをご褒美に使いながら、視界に入りづらい横や後ろからそっと口元に触れる方法。
短い時間で構いません。少しでも触れたら、その場でやさしく誉めてあげてください。
このときに大切なのは、「嫌がる前にやめる」こと。
「嫌がったからすぐにやめる」を繰り返してしまうと、「嫌がればやめてもらえる」と学習してしまい、ますます口元に触らせてくれなくなってしまいます。
触れる→ごほうび→終了、という流れを毎日少しずつ繰り返していくことで、次第に触られることへの抵抗が減っていきます。
ステップ②:どうしても難しいときは…
どうしても口元を触らせてくれない子には、デンタルガムの活用もおすすめです。
ただし、ただ与えるだけでは効果がありません。しっかり時間をかけてかませることがポイント。
「パクッと食べておしまい」では、歯みがき代わりにはならないのです。
また、固すぎるガムやおもちゃには注意が必要です。
中には強く噛むことで歯が欠けてしまうことがあります。
欠けても気づかれないことが多いですが、欠け具合によっては噛むときに痛みが生じたり、炎症を起こす原因となる場合があります。
素材選びにも注意したいですね。
スモールステップに分けることが成功のカギ
デンタルケアは、いきなり完璧を目指すものではありません。
最終的に「歯ブラシでのケア」ができることが理想ですが、そこにたどりつくまでには時間と練習が必要。
焦らず、少しずつ「できることから」始めてみてください。
当院ではスタッフによるデンタルケアの指導も行っています。
「うちのコの場合はどうしたらいいの?」
「ガムは何を選べばいい?」
など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
ご家庭でのケアがうまくいくように、私たちがしっかりサポートします。
ご家族の手でできるケアを、無理なく、楽しみながら続けていくこと。
それが、わんちゃん・ねこちゃんの健康と長生きにつながる、いちばんの近道です。